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取引関係者とつくる働きやすい現場
トラック運転者・バス運転者・
建設業従事者の働き方

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発荷主

積水ハウス株式会社

DATA企業データ

代表取締役兼CEO
社長執行役員
仲井 嘉浩
従業員数
3万2265名(グループ全体)
設立
1960年8月
資本金
203,300,813,622円
(2025年6月4日現在)

事業概要

戸建住宅を起点に「請負型ビジネス」「ストック型ビジネス」「開発型ビジネス」「国際ビジネス」を展開する。戸建・賃貸住宅、マンションの設計・施工、リフォーム、不動産管理、都市開発、海外事業まで多角的に行い、住まいと環境を通じて人々の豊かな暮らしに貢献。高水準の技術とサービスで、高品質な住まいと街づくりを一貫して手掛けている。

積水ハウス株式会社

取組の背景

ドライバーの長時間待機が課題

積水ハウスでは、人手不足が深刻化する中、以前からトラックドライバーの長時間労働が常態化し、住宅部材輸送でこの問題に直面。特に、関東工場では1日およそ700台のトラックが出入りし、積み込み場所の混雑や時間帯による集中がドライバーの長時間待機を招いていた。同社では荷主としての責任を強く認識し、運送会社と協力してこの課題解決に取り組むことになった。

取組のポイント

  • 取 組1
    [ 荷主責任と協力体制の強化 ]

    運送会社との連携を深め、荷主である積水ハウスがシステム導入や設備投資を積極的に行い、協力体制を構築。これにより、運送会社だけでは難しかった大規模な改善策を実現した。

  • 取 組2
    [ トラック予約受付システムの導入 ]

    トラック予約受付システムを導入し、ドライバーが事前に携帯電話から入場時間を予約できるようにした。これにより、工場での待機時間が大幅に短縮され、ドライバーは時間を有効活用できるようになった。

  • 取 組3
    [ 積荷方式の変更と立体倉庫の導入 ]

    従来の非効率な「バイキング方式」から、自動立体倉庫を活用した「立体倉庫方式」へ移行。出荷前に積み荷を準備しておくことで、1台あたりの積み込み時間を半減し、ドライバーの待機時間を削減した。

TOPIC

立体倉庫の導入で積み込み時間が半分に

工場内の積み込み作業の効率化は、ドライバーの待機時間短縮に直結する重要な課題であった。従来の積み込み方法は「バイキング方式」と呼ばれ、複数の場所に平置きされた資材を、ドライバーがトラックで順番に回って探し、積み込むという非効率なものであった。荷物の特定や移動に時間がかかり、1台当たりの積み込みに40分を要し、混雑時には2時間以上待機するドライバーも全体の40%に上っていた。

この課題を解決するため、積水ハウスは荷役作業の機械化に着手し、新たな自動立体倉庫を導入した。この「立体倉庫方式」では、出荷前日にトラック1台分の積み荷を自動立体倉庫に格納し、事前に集約・準備しておく。当日、トラックが倉庫に入場するとセンサーが感知し、積み込む全ての荷物が自動で搬出され、フォークリフトで直接トラックに積み込まれる。これにより、荷物探しや積み直しといった無駄な作業が一切なくなった。

この取り組みは、ドライバーだけでなく、積み込み作業を行う作業者の負担も軽減した。当初は「ドライバーさんに早く帰ってもらうために、なぜ我々が苦労しなければいけないんだ?」という声も上がったというが、目的を丁寧に説明し、作業者自身が作業を改善することで、結果的に自分たちも早く帰れるようになったため、今では作業者からも喜びの声が上がっている。導入前は1台あたり約40分かかっていた積み込み作業が、導入後はおよそ半分の20分で積めるようになった。

実施前
BEFORE/実施前

荷物の特定や移動に時間がかかり、積み込みに1台当たり40分を要していた。トラックが集中する時間帯には、2時間以上待機するドライバーが全体の40%にも及んだ。

実施後
AFTER/実施後

1台当たりの積み込み時間は20分へと半減。ドライバーと作業者の双方の負担が軽減され、効率が大幅に向上した。

成果と課題

持続可能な物流システムを構築

これらの取り組みにより、積水ハウスの物流現場では目覚ましい成果が上がっている。活動開始前は2時間以上待機するドライバーが40%を占める時期もあったが、現在ではこの割合が0.2%まで激減した。また、ドライバーの1日の拘束時間は平均13時間から10時間程度に短縮され、約3時間の余暇が生まれた。但し、依然として約0.2%のドライバーが2時間近く待機している状況は課題として残っている。これを改善するためには、工場側の積み込み能力のさらなる向上に加え、予約システムの一層の活用促進が求められる。特に、初めて工場を訪れるドライバーも含めて予約システムの予約精度の向上に取り組む。
積水ハウスは、今回の取り組みについて、物流現場の業務効率化に大きく寄与する実践的な仕組みとして評価しており、建設業界にとどまらず、他の業種においても十分に応用可能なモデルであると捉えている。同社の取り組みは、単なる法令遵守にとどまらず、荷主が主体的に物流プロセス全体へ深く関与し、運送会社やドライバーとの協力関係を築くことで、持続可能な物流システムを構築した点に大きな意義がある。

VOICE

取組担当者の声

荷主と運送会社の協力で労働時間短縮を実現

積水ハウス株式会社 生産調達本部生産戦略部山本 英次さん

ドライバーの時間外労働を削減するため、荷主として荷待ち時間の短縮に取り組んできました。運送会社だけでは改善に限界があるため、私たち荷主が主体的に関わり、協力しながら進めていくことが重要だと考えています。その結果、ドライバーからは「解放時間が早くなって良くなった」という声が届くようになりました。積み込み作業者や積水ハウス側でも、以前よりドライバーの立場や気持ちを意識する姿勢が高まっています。こうした意識の変化により、単なる労働時間の短縮にとどまらず、運送会社との関係性がより近く、良好なものになってきていると実感しています。

山本英次さん

発注先企業の方の声

余暇が増え、生活の質が向上

株式会社センコー ドライバー職長横田 浩伸さん

以前は、積み込み・荷下ろし時の手待ちで拘束時間が長く、法改正前は長時間労働が当たり前でした。予約システムの導入については、当初は手間が増えるのではないかと懸念していましたが、実際に使うとそれほど難しくありませんでした。その他の改善と合わせて取り組む事で積み込みの待ち時間が大幅に短縮され、ドライバーの終業時間も早まりました。特に、工場入場時の待機列がほぼなくなり、最大3時間の待ち時間が解消されました。労働時間も大幅に短縮され、余暇を家族や趣味に当てられて、生活の質が向上しました。

横田浩伸さん

(2026年3月作成)

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