[ フェリー利用による中継輸送の実施 ]
陸送対応していた中四国エリアの輸送に関して、協力関係にある企業とタイアップし、フェリーを基点としたスイッチ輸送方式を双方で提案し合う形で2018年から実行。2024年問題を見据えた取組をいち早くスタートし、積載効率の向上とドライバーの負担軽減を実現。
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総合物流企業
総合物流企業として、港湾運送、倉庫業・物流加工、国内外輸送など一貫した物流サービスを提供し、日本主要港湾と世界各地に広がるネットワークを有する。創業以来、港湾物流のパイオニアとして総合的な物流ソリューションを展開し、安全・品質を重視した物流管理を通じて産業と社会の発展に貢献している。
取組の背景
上組志布志支店では、従来から関西・関東エリアからの集配貨物について、長距離フェリーを利用した海陸一貫輸送サービスを展開していた。近年では、陸送対応としていた中四国エリアの集配作業において、拘束時間の浪費が大きく、長距離運送の継続可能性が議論されていた。また、集配作業は、手積み・手卸し作業が前提となっており、トラックドライバーへの身体的負担の大きさや、ドライバーの高齢化による作業可能人員の減少により、対応可能な運送事業者が日を追うごとに減少するなど、解消すべき課題を多く抱えていた。
取組のポイント
陸送対応していた中四国エリアの輸送に関して、協力関係にある企業とタイアップし、フェリーを基点としたスイッチ輸送方式を双方で提案し合う形で2018年から実行。2024年問題を見据えた取組をいち早くスタートし、積載効率の向上とドライバーの負担軽減を実現。
手積み・手卸し作業が前提となっていた一部の集配作業について、メーカーの協力を得て、出荷工場での積込時にパレット資材の提供を受け、自社倉庫への入庫後に空パレットを返却するパレット貸出方式を新たに構築し、手作業による負担軽減と効率的な荷役作業を実現。
輸送効率の向上とドライバーの
拘束時間削減を同時に実現
ドライバーの拘束時間の短縮が喫緊の課題である中、従来の運行形態では、帰り荷の確保が難しい面もあり、空車回送によるドライバーの拘束時間の浪費の問題や、そもそもの拘束時間が長い行程を組まざるを得ないという点で、ドライバーの負荷の問題の解消が課題であった。
この課題に対し、上組では、協力関係にある愛媛県八幡浜市の企業との間で、臼杵港(大分県)⇔八幡浜港(愛媛県)間のフェリーを基点としたスイッチ輸送方式を導入することとして、2018年から協力体制を構築している。九州側での集配業務を上組が、四国側での集配業務を協力会社がそれぞれ担当する体制を敷いた結果、相互に貨物を融通しあうことで車両の回転効率が大幅に向上し、何よりドライバーの拘束時間を削減する事に大きな成果が得られた。(2泊3日運行→1泊2日運行に改善)。2024年問題を見据えて早期に取り組んだ結果、時間外労働の上限規制の施行時も特に大きな混乱はなかったという。
協力会社とのタイアップにより積載効率の向上を図り、ドライバーの負担軽減を実現
パレット方式の導入により荷役作業の
負担軽減を実現
長期的な輸送の継続性の確保を考える上で、従来からの手積み・手卸し作業を前提とした輸送方式は、ドライバーの身体的負担が大きく、ドライバーの高齢化といった面も考慮すると、現場では何らかの改善が急務と考えていた。特に、飼料原料用の袋もの貨物は25・20㎏紙袋を20トン車に手積み等するものであり、このドライバーへの高負荷な作業方法の見直しが課題であった。
この課題に対し、上組では、まずは各飼料メーカー・各製粉メーカーと問題意識を共有し、対話を重ねることから始めたが、メーカー側も輸送の継続性の確保は重要であるとの認識の下、メーカーが出荷工場での積込時にパレット資材を提供し、上組が自社倉庫への入庫後に空パレットを元地に返却する輸送方式を新たに構築することとなった。
パレット方式による輸送によって高負荷な作業方法の見直しを実現
フェリー利用による中継輸送の実施によって、従来の2泊3日の行程が実質1泊2日運行で計画可能となった。併せて、ドライバーの拘束時間の削減(時間外労働時間の上限の960時間/年以内を実現)にも寄与し、働きやすい運行形態を実現している。また、パレット貸出による輸送方式の導入により、効率的な荷役作業を可能としたことは、高齢化するドライバーへの作業負担の軽減や荷役時間の短縮が実現され、各運送事業者からも高い評価を得ることができ、継続的な輸送を行っていく上で必要となる協力関係の維持が大いに期待される結果となった。
課題として、輸送方式の変更に伴う運賃の上昇は避けられなかったものの、これらの取組は輸送の継続性を確保する上で大きな効果を発揮しており、今後もこのスキームを基本とした定期輸送を継続していくこととしている。
取組責任者の声
株式会社上組 志布志支店 支店長川井 健司さん
飼料畜産業界の物流は、長年にわたり製品・原料の手積み・手卸し作業が主流であり、国内物流のみならず国際海上コンテナ輸送においても、旧来型の荷役形態が根強く残ってきました。一方、少子高齢化が進むローカルの現場において、従来と同じやり方を続けていくことには限界があると私たちは感じております。そこで上組では、輸送・倉庫・作業の各部門が連携し、貨物のパレタイズ化を推進することで、荷役効率の向上と作業負担の軽減に取り組んでおります。近年ではその考え方も徐々に浸透し、関係先から共感と協力を頂ける場面が増えてまいりました。今後も現場の声を大切にしながら、働き方改革の実現と持続可能な物流の構築に貢献してまいります。
取組担当者の声
株式会社上組 志布志支店 国内物流課 係長松永 智宏さん
パレット化により、手積み・手卸し作業時間を従来の約1時間半~2時間から20~30分程度へ短縮し、ドライバーの身体的負担を大幅に軽減しました。これにより高齢ドライバーでも作業が可能となり、人材確保にもつながっています。また、フェリー輸送により運行日程を2泊3日から1泊2日に短縮し、拘束時間と精神的負担の軽減を実現しました。現在は毎日安定した運行が可能となっており、労働時間削減と安定輸送の両立に効果が上がっていることを実感しています。今後は荷待ち時間の削減を課題として、さらなる改善に取り組んでいきます。
(2026年3月作成)