[ 全国規模での教育と改正改善基準告示の遵守徹底 ]
改善基準告示の改正を受け、2023年後半から全国の営業担当者向けにオンラインセミナーを継続的に実施した。これにより、関係者が新しいルールの理解を徹底し、例えば修学旅行などで夜間の観劇などを旅程に入れた場合、帰りは公共交通機関を利用してもらうなど、バス運転手の労働時間を削減する行程表の作成を促した。
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旅行会社
JTBは旅行業を核に、ツーリズム、エアソキューション、ビジネスソリューションの3事業を展開する。地域活性化や企業課題解決に貢献する交流創造事業を推進し、国内外で幅広いサービスを提供している。
取組の背景
改善基準告示の改正を受け、JTBは事業存続のため、全国の営業担当者への改善基準告示に関する教育や効率的なバス手配の調整に課題を抱えていた。特に、バス手配は地域に根ざしたバス会社との信頼関係に依存するアナログな側面が強く、全社的な調整が困難であることがJTBとバス会社双方にとって大きな課題だったという。
取組のポイント
改善基準告示の改正を受け、2023年後半から全国の営業担当者向けにオンラインセミナーを継続的に実施した。これにより、関係者が新しいルールの理解を徹底し、例えば修学旅行などで夜間の観劇などを旅程に入れた場合、帰りは公共交通機関を利用してもらうなど、バス運転手の労働時間を削減する行程表の作成を促した。
2025年2月1日に東京と大阪に「貸切バスサポートセンター」を新設した。このセンターは、東京、関西へ来る修学旅行の事前バス集約と手配を行うだけでなく、請願(支店・事業部で手配困難な案件の調整)窓口の役割を担っている。さらに現場の情報収集や東西のバス事業者間の連携強化も担っており、バス会社からも、窓口が一本化されることで円滑に調整が進んでいる。
バス手配がアナログな側面を持ち、バス事業者との信頼関係が重要であることから、地道なコミュニケーションを通じて、JTBがバス事業者から「選ばれる存在」となることを目指し、双方にメリットのある関係構築に注力している。
バスサポートセンターで請願案件を一元管理
改善基準告示の改正にあわせ社内の業務効率化を目指し、バス手配に苦しむ支店・事業部の請願窓口を新設。それが2025年2月1日に新設された「貸切バスサポートセンター」である。バス会社とのコミュニケーションは当然のことだが、バス会社から運行を引き受けて頂けるような行程表の作成、運転手の休憩時間確保、駐車場の手配などバス会社に負担がかからないような工夫にも力を入れている。
まず、サポートセンターの機能の一つが請願窓口を一元化したことで支店・事業部の負担が軽減でき、今まで1日中バスを探していた時間を別の事に利用できるようになった。さらに、バス事業者側は支店・事業部と個別交渉をしていたが、センターへ一元化されたことで自社の予約状況の提供などお互いに情報が蓄積されていき、請願案件発生時にはうまくマッチングができた事例も生じた。
次に、情報収集とマーケット把握の強化だ。支店・事業部の営業担当者やバス会社を定期的に訪問し、市場全体の状況を詳細に把握するなど「双方の現場の声」を吸い上げることに重点を置いており、こうした取組が適切な行程表の作成にも活きている。
バス事業者から「選ばれる存在」を目指し、双方向のコミュニケーションを大切にした関係構築に注力している。
JTBは、バス業界がアナログな世界で、人と人がつながり、信頼関係で成り立っている特性を理解し、地道なコミュニケーションを通じてマーケットの動向もつかみつつ効率的なバス手配を行うことで、運転手の労働時間遵守につながり、より確実な手配を実現したという。さらに、東西連携の強化も重要な機能であり、東京と大阪に設置したセンターで、東日本と西日本のバス事業者と年間2回程度の会合を開催し、バス会社同士の情報交換やコミュニケーションの場を設けることで、広域でのバス手配調整を可能にしている。これまで地域ごとに分断されていた情報が共有され、より柔軟な手配調整を実現できた。
今後の課題として、旅行の分散化と平準化の推進を挙げ、バス運転手の勤務負担軽減とオーバーツーリズム対策のため、修学旅行や一般旅行においてピーク時期への集中を避け、年間を通じて観光需要を平準化することで、持続可能な観光産業の実現を目指すこととしている。
請願窓口担当者の声
東日本貸切バスサポートセンター長柳 博久さん
センターは、支店・事業部が手配できない請願窓口としてのプラットフォームとなり、効率的な手配調整を行う交通整理のような役割を担っています。センター設立後、支店・事業部からの請願依頼は現時点で100%対応できている状況です。改善基準告示を遵守した旅程の一元管理と窓口一本化による円滑な手配調整は、バス事業者からも高い評価を得ており、業界全体の効率化に貢献しています。
旅行企画担当者の声
事業推進部 国内海外政策チーム担当マネージャー落合 祥司さん
バス運転手の労働時間のルールを遵守することが社会課題である以上、旅行会社として事業存続のためにはしっかり向き合っていかなければならないと感じています。近年問題になっているインバウンドによるオーバーツーリズムの課題とともに、旅行の分散化を進める必要性をさらに考えるきっかけになりました。非常にありがたい改正だと思っています。日本各地には、まだまだ知られていない魅力的なコンテンツが沢山あり、単純に時期や地域を分散化させたいという事ではなく、地域の新たな魅力をお客様に届けていく事が我々の使命と考えています。
(2026年3月作成)