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受注者

株式会社砂子組

DATA企業データ

代表取締役社長
砂子 邦弘
従業員数
219名(2025年11月現在)
設立
1946年9月
資本金
8,800万円

事業概要

北海道を拠点に土木・建築の設計施工を手がける総合建設会社。道路、河川、橋梁、農業基盤などの社会インフラ整備を手がける土木事業、大型分譲マンションなどの建築事業、そして石炭の採掘・販売を行う資源エネルギー事業を展開している。

株式会社砂子組

取組の背景

業界の構造的問題が課題に

建設業界全体で働き方改革への対応が大きな課題となる中、同社も約6年前まで「4週4閉所」(日曜日のみの月4日休業)という状況にあった。取組を始めるにあたり、まずは5年間で「4週8閉所」を目指すも、当初3〜4年経っても週2日の休み確保は困難な状況が続いた。また、建設業界の多くが日給制であるという構造的な問題から、協力会社からは「土曜日の働き場所」や「賃金保障」への懸念が強く、一律に休日を増やすことが難しい状況だった。

取組のポイント

  • 取 組1
    [ 「適正工期」確保への徹底した取り組み ]

    受注金額よりも工期を優先し、見積もりや設計段階といった早期から発注者と交渉し、工期の長期化を前提とした事業計画を促した。また、設計部門を強化し、効率的な工法の提案による適切な工期設定を可能にした。

  • 取 組2
    [ 協力会社との強固な信頼関係構築 ]

    協力業者を増やすことにより、職人が確保できない事態を避け、積極的に今後の受注の見通し等情報発信を行うなど密なコミュニケーションを図り、協力会社との信頼関係を強化した。

TOPIC

信頼関係の醸成で適正工期を確保

同社の改革は、単なる規制対応に留まらず、業務プロセスの抜本的な見直しに焦点を当てた。まず、建設業の長年の課題であった「適正工期の確保」に注力した。建築部門において民間工事が多い同社は、発注者に対し、受注金額よりも工期を長く取るよう交渉することから始めた。見積もりを出す早期段階から、「4週6閉所にするため、通常より1〜2か月工期が長くなる」といった交渉を粘り強く行ったが、当初は短い工期で見積もりを出すような競合先に負けることがあった。

そこで、同社は、特に大型分譲マンションの建築に力をいれた。建設工事は、全く同じ設計、条件等で行われることはなく、現場ごとに変わる。そのため、得意分野を作ることで、それぞれ状況に応じた「適正工期」が見えるという。また、1つの分野に力を入れることにより、技術力が高まり、工期の短縮にも繋がった。例えば、10〜15階建ての建物にプレキャスト(PC)工法の採用を拡大。工期の短縮にも繋がった上、当初見込まれたコスト増の課題も結果として人員削減効果により利益も増加するという結果を得ている。このような結果を示すことで、工期についてより発注者の理解が得られやすくなったという。

さらに、交渉力を高めるため、設計部門を強化し、設計段階から受注を可能とし、また、設計事務所が他社となる場合にも早い段階から工法変更などの提案ができる体制を整えた。
こうした取組により、発注者からの信頼を得られ、事業計画の早期段階から発注者に対し働きかけを行えるようになり、同社が求める「適正工期の確保」に繋がっている。

次に、現場を支える協力会社との信頼関係の醸成に力を入れた。一つの工種を担う協力会社を2社から3社に増やし、職人が確保できないことによる工期への影響を防ぐ体制を整備。さらに、懇親会などを通じ、協力会社とコミュニケーションを密にし、同社から協力会社に対し、積極的に今後の受注の見通し等情報発信を行うことで、協力会社が安心して準備を進められる関係を構築した。また、北海道という冬季の工事が難しい環境下において、1月、2月、3月も全て稼働させることで、職人が地元で継続的に働ける環境を提供したことも協力会社からの信頼につながった。

信頼関係の醸成で適正工期を確保

受注金額よりも工期を優先し、見積り段階から発注者へ働きかけを行うことで「適正工期」を確保。協力会社との連携も深め、冬季の施工や休日確保に対応した持続可能な施工体制を構築している。

成果と課題

技術革新が進むも社員教育が重要に

技術力の向上を図ったことにより、発注者との交渉も進み、適正な工期・価格を確保した受注が6〜7割程度実現しつつある。また、自社内においてもこれまで手書きで約5時間かけて作成していた書類作成業務を5分で終えることができるようタブレットシステムを自社開発する等、自社内の業務効率化・生産性向上に向けた取組を行い、社員の労働時間削減につながっている。同社が積極的に取り組む姿勢は若手社員の確保にもつながった一方で、急激に増加した若手社員への適切な教育体制の整備が喫緊の課題となっている。また、今後も発注者からの信頼を継続的に勝ち得ていくためには、技術教育だけでなく、社員の人間性を育む教育を通じ、企業へのエンゲージメントをいかに高めるかが重要となっているという。

VOICE

事業担当者の声

「良いものづくり」のための信頼関係が大事

専務執行役員黒島 美男さん

最も重要なのは『良いものづくり』に尽きます。良い建物を作り、信頼を得ることで、次の仕事につながります。その信頼関係が、工期や価格の面で有利に働く。そして、社員が仕事を楽しめる環境を作ることが一番大切で、それが協力会社との良好な関係にも波及していくと思います。

黒島 美男さん

効率化推進・若手人材育成担当者の声

規制対応を可能とするプロセスが重要

常務執行役員真坂 紀至さん

規制への対応を目的とするのではなく、我々のプロセスを抜本的に変えた結果として、規制に対応できるようになるのが一番理想的な形です。今まで変えられないと思っていたところにもチャレンジし、休みが増え、労働時間も減る業界に変っていくと良いなと思います。

真坂 紀至さん

(2026年3月作成)

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